うなずき運動と起き上がり運動
骨盤帯を構成する滑膜関節の一つである仙腸関節は、どのような動きをするかごぞんじでしょうか?
仙骨と左右の寛骨で構成され、多様で複雑な動きをすると考えられています。
このページではその機能について説明しています。
仙骨のうなずき(前方方向)で関節面は下方から後方へ滑り、起き上がる時には、関節面に対して前方 から上方へ滑ります。
この動きの可動性は非常に少なくおよそ1~2mm程度と考えられてています。
うなずきを寛骨の動きから見ると寛骨の前方回旋は体幹の前屈時に起こります。
寛骨が前方へと回旋すると関節面では下方から後方へと滑ります。
寛骨が後方へ回旋するのは体幹の後屈時などです。
この時、関節面に沿って前方から上方に滑ります。
これも仙骨のうなずきと同じ関節運動学的な動きであるとされます。
仙骨のうなずき(前方への動き)は仙骨上部が前に動いて骨盤内に入りこむ動作で、この動きは骨間靱帯と仙結節靱帯により制限されている。
仙骨の起き上がりでは、骨間仙腸靱帯 や長腹側靱帯などによりその動きが制限されます。仙腸関節面の起き上りが何らかの原因で制限されれば、それららを制御している筋系や靱帯に影響を与える事は容易に想像できます。
起き上がりやうなずき動作の低下は仙結節靱帯の緊張や大腿二頭筋の緊張を高め、さらに下肢につらなる下腿三頭筋の緊張を強める結果につながります。
ニュートラルゾーン
抵抗の最も少ない位置がニュートラルゾーンと呼ばれるものです。
関節ニュートラル整体と言うものがありますが、最も関節が緩んでる位置おいて独自の手技を施すものだと思います。
ニュートラルゾーンは怪我や関節の老化、筋力の低下などで広がるとされます。
仙腸関節を補強する筋肉・靭帯
(腰椎、骨盤、股関節 )には多数の筋や靱帯が付着しています。
インナーユニット
インナーユニット は、多裂筋、腹横筋、横隔膜、骨盤底筋などです。
アウターユニット
アウターユニットと呼ばれる筋は、脊柱起立筋、胸背筋膜、仙結節靱帯、大腿二頭筋、 外側部は中臀筋、小臀筋、反対側の大腿内転筋、下部は外腹斜筋、内腹斜筋に反対側の内転筋など、これらの筋肉が相互に作用し、仙骨の起き上がり、おじぎ運動を制御したり、立位や歩行、運動時に負荷の伝達をコントロールしています。
アウターユニットを構成する筋系は4つであり、深部を縦に走るものと、前部を斜めに走るもの、後方を斜めに走るものと外側を走る系であります。
これらの筋系の機能低下や不十分な活性化やタイミングのずれが生じると閉鎖力が弱められ、その機能低下に代償的な運動で対応します。
すると代償運動の生じている腰背部、股関節、膝関節の障害が発生します。
大殿筋
大臀筋の線維は仙腸関節面に対して垂直に走り、胸背筋膜と反対側の広背筋(胸背筋)につながって仙腸関節面の閉鎖力を高めて安定性を保っています。
大殿筋と対側の胸背筋(広背筋)の収縮がおこると、寛骨と仙骨の閉鎖力が高まり、仙腸関節の安定と歩行時の負荷伝達 にも重要な働きとなります。
可動性について
可動域について、回旋と移動の平均値は男性で1.8度の回旋、0.7mmの移動量 、女性では1.9度の回旋、0.9mmの移動量であるとされ、6度以上の回旋と、2mm以上の移動があれば病的な関節と考えられています。
ペルビックアプローチ(医道の日本社)参照
※骨盤帯についての書籍は医道の日本社と医歯薬出版から刊行されています。書籍名は違いますが著者が同一で内容自体はさほどの差はありません。
この書籍は骨盤帯についての分析はよく出来ていますが、肝心な手技のところで曖昧な点が多々あると言えます。